創立10周年を振り返って

新京極商店街振興組合

久世芳弘

 

KICSが10周年を迎えられ心からお喜び申し上げます。

さて、約10年前、特に平成4年にスタートしましたクレジット一括処理システム構築のため準備委員会が何回も開催されたことを思い出します。確か8つの商店街担当者と京都産業情報センター・京都市・京都府・京振連それにオムロンと、そのぞれの担当者が集り、具体的にデータの流れや締め日のこと、費用のこと、不慮の出来事の時の対処など課題が山積していましたが、毎回ひとつつずつ討議しては一歩前進し、その間に各担当者は締め切り日までに各店のデータを確認作業したり契約書の内容をチェックするといった具合で、緊張感がある会議の連続でした。きっとその緊張感はいまのKICSでも同じ事だと思いますが、特に当時の私は、新京極を代表して参加しているというプレッシャーが強く、「この件は新京極さんはどうされますか?」と問われても「この件は持ち帰り、理事会に諮った上で回答します。」と答えるしかなかったように思います。

準備委員会は暑い夏前から始まったと記憶しています。カード会社との一括処理契約は、当時は各カード会社毎にそれぞれの商店街が手数料交渉をしなくてはならず、汗を拭きながら慣れないネクタイをしめ大阪のオフィス街に出向いたりもいたしました。
時には強引に、時には我慢強くカード会社の担当者を説得したものでした。なにはともあれ、Xデーは平成4年1月1日と決まりました。そのため、平成3年12月は本当に最後の最後まで最終調整に追われました。組合の加盟店向け広報文をどうするかで寺町の安盛さんと一緒に深夜に四条繁栄会の樋爪さんを訪ねて細かい点の擦りあわせをした記憶があります。
そして、スタートして1週間後、一括処理がスタートしたにも拘わらず、従来通り、売上伝票を郵送で請求してしまったとか、取り消し忘れで二重請求してしまったとか、システムに慣れるための洗礼を受け、いくつかの課題を乗り越えなければなりませんでした。また、当時は資金の流れが各商店街の当座貸越契約によりカード会社の振込日に加盟店に送金されるシステムをとったところでは、データ伝送日に組合事務所でその確認作業をしなくてはならず、月2回、その日は上手くいくかどうか心配で冷や冷やしたものでした。

さて、この10年で何が変り何が全く変っていないのでしょうか?最初スタートした8商店街がその後多くの商店街・団体参加を得てその規模は随分大きくなりました。取扱のカード会社が圧倒的に増え、銀行POSからデビットカードへ、また事業内容もポイント事業、流通合理化事業、インターネット事業、携帯電話を利用した事業等々、時代に即応しての展開だったように思います。新しい事業展開は「変える」ことを命題に今後も更なる発展をとげ、飛躍されますことを切に願っております。
しかし、この10年にひとつも変っていないことがあります。それは、「人の和」です。システムが進化しバージョンアップするごとに、何度か視察研修旅行に参加させていただきました。東京・横浜の先進カードシステムの商店街視察、また九州のオムロン工場見学や熊本の商店街視察等、一緒に行動することで KICSの皆さんと仲よくなれましたことを喜びといたします。それは一種の異業種交流でもあります。いろんな業種の方々とお話が出来、実際に相互に利用させていただく、また異業種の方の方法を参考にさせていただくとか、忌憚のない気楽なお付き合いも生まれて素晴らしいグループの和が存在していると思います。またKICSを通じて諸官庁の方々や業者の方々ともお知りあいになれたこともプラスになっていると思います。

10年はあっと言う間に過ぎましたが、この「人の和」は決して「変わらざるもの」「変えてはいけないもの」でありKICSのなによりもの財産なのだと思います。

最後に、ハッピー・バースデー・トゥ・KICS!
KICSの新たな結束と飛躍へ向けて一歩ずつ前進してまいりましょう!

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